廃掃法の目的
2025.07.07
廃棄物処理法の主な3つの目的
今回は「廃棄物の処理及び清掃に関する法律」、通称「廃棄物処理法」の目的について、紹介しましょう。「廃棄物処理法」とはなんでしょうか?どの法律でも、その法律の目的は第1条に記されます。廃棄物処理法では次のように表わされています。
「廃棄物の排出を抑制し、及び廃棄物の適正な分別、保管、収集、運搬、再生、処分等の処理をし、並びに生活環境を清潔にすることにより、生活環境の保全及び公衆衛生の向上を図ることを目的とする」とあり、ここに記載された目的は主に次の3点に分けられます。
① 廃棄物の排出を抑制すること
② 廃棄物の適正な「分別、保管、収集、運搬、再生、処分等」の処理をすること
③ 生活環境を清潔にすることにより、生活環境の保全及び公衆衛生の向上を図ること
法改正による廃棄物処理法の目的の追加
法律制定当初の目的は③の「生活環境の保全および公衆衛生の向上を図る」ことのみでしたが、世界的な環境意識の高まりを受けた「持続可能な発展」に向けた措置の一環として、1991年の法改正時に①「排出の抑制」と②「再生」を核とする適正処理の推進が加えられました。これにより、今日環境関連の話で耳にする「3R」のうち、リデュース(排出の抑制)とリサイクル(再生)はこの改正を機に法的にも位置付けられるようになりました。
なお、リユース(再使用)できるものは廃棄物ではなく廃棄物処理法の対象になりません。
現代における廃棄物処理法の役割
もともとは公害対策基本法のひとつとして制定された法律ですが、現在は資源の有効利用推進のための役割も与えられています。廃棄物を単に適正に処理するだけではなく、資源として再生利用することを促進する方向性が強く打ち出されています。
排出事業者の責任と実態
廃棄物処理法では「事業者は、その事業活動に伴って生じた廃棄物を自らの責任において適正に処理しなければならない」(法第3条)と規定しています。適正に処理するとは、排出事業者が「自ら処理する場合」と「処理業者に処理を委託する場合」とがあり、実際には多くの排出事業者が自ら中間処理施設又は最終処分場を設置することなく、産業廃棄物の処理を産業廃棄物処理業者に委託しています。
法の遵守と産業廃棄物処理業者の課題
「廃棄物処理法」は、廃棄物関連法の根幹をなす法律であり、(特別管理)産業廃棄物処理業者はその法を支える重要な役割を担う立場にあります。このようなことから廃棄物処理法では、廃棄物処理業に厳しい要件を課す許可制にすることで、不適正な処理を行う業者を排除するとともに、罰則等を定めて処理業者に法の遵守を強く求めています。
しかし、処理業者の中には不適正処理が生活環境に与える影響が大きいことを承知しながら、自らの利益を最優先するあまりに不法投棄等の違法行為を行う者も存在しており、そのために多くの優良な処理業者が、十分な社会的信頼を得られない状況にあることも事実です。(特別管理)産業廃棄物処理業の許可を取得して処理業を営もうとする者は、法の精神を十分に理解した上で、産業廃棄物の適正処理を推進していくという認識を持って事業に取り組んでいかなければなりません。
次回予告
次回は廃棄物とは何か、について話したいと思います。
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